正常な骨 骨粗鬆症の骨
骨折しやすい部位
日常出会う軽微な力でも簡単に骨が折れる病気ですが、骨折しやすい部位があります。骨折しやすいのは骨の中がすきまの多いスポンジ状になっている骨(海綿骨)です。
海綿骨のすきまには、骨を壊す「破骨細胞」と骨をつくる「骨芽細胞」が沢山存在しています。骨芽細胞に比べて破骨細胞の働きは数倍も大きく、加齢や閉経で女性ホルモンが不足したなどの際に急速に骨が壊れますが、同じ量の骨をつくりきれないために海綿骨は弱くなりやすいのです。
このことから、活動量の低下した高齢者や閉経期の女性は、背骨や太ももの付け根、手首などに骨折が生じやすくなります。
背骨の場合は、「転倒」、「体を捻る」、「物を持ち上げる」など、いろいろな動きで骨折し、60歳頃から歳を取るとともに着実に増えていきます。
手首、上腕の付け根などの場合は、主に転倒により生じ、そのうち手首の骨折については50歳頃から歳を取るとともに骨折する人が増えます。
大腿骨頸部骨折(太ももの付け根)は70歳以降になると歳を取るとともに増加します。80歳代になると腕の付け根や手首の骨折に比べて10倍も多く骨折します。寝たきりの原因になる骨折です。
骨粗鬆症はたんに骨が折れやすい病気と思っている人が多いと思いますが実は
骨粗鬆症は寿命を縮める病気なのです.
脊椎を骨折すると背中が丸くなるため、胸部・腹部臓器を圧迫し、内臓、心臓、呼吸器の機能障害を来たしてしまいます。
2個以上脊椎の椎体骨折があるとその後の生存年数が優位に短くなるという研究結果が報告されています。
また脊椎の椎骨骨折の方が発症年齢が若く55歳頃から増加し、歩けなくなる大腿骨近位部骨折は75歳頃から増加します。
椎体骨折をおこした人の死亡率はない人の9倍、大腿骨近位部骨折があると死亡率は7倍になる、とのことです。