慢性疼痛、神経障害性疼痛に対する治療法
近年になって腰痛や坐骨神経痛などの従来の治療法で効果なかった症状に対して使える薬が増えてきました。
今までNSAIDS(消炎鎮痛剤)に頼るしかなかった治療法が、いろいろな選択肢を持てるようになっています。
ここでは神経障害性疼痛、慢性腰痛症に対して使用している薬を紹介します。
NNT
有効な人を出すのに何人の投与を必要とするかの指標です。
三環系抗うつ薬 |
ガバペン リリカ |
オピオイド | |
中枢性疼痛 | 4.0 | 7.1 | - |
帯状疱疹後神経痛 | 2.8 | 4.6 | 2.6 |
有痛性多発 ニューロパシー |
2.1 | 3.9 | 2.6 |
末梢神経損傷 | 2.5 | - | 3.0 |
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トリプタノ-ル
副作用が心配な方は10mgや25mgから開始しましょう。
トリプタノール10mgで開始、25~75mgへ漸増が最も標準的(NNT=3程度)の鎮痛補助薬ですが、全身状態が不良/高齢者では、せん妄、眠気、便秘などの抗コリン性副作用を生じることが多くなります
1-2週間の間隔を上げて少量ずつ(10~25mg程度)増やしていきます。
効果を感じればその量で維持しますが、効果不十分であれば少しずつ増やしていきます。
三環系は副作用が多く、特に高容量になると危険な副作用の可能性も多くなってきます。
75mg以上は慎重に増やしていき、外来ではせいぜい150mg程度が限度です。
三環系の中でも、セロトニンとノルアドレナリンをバランスよく増やすトリプタノールは
落ち込み、不安、意欲低下、無気力など、うつ症状が多岐に渡っている場合に
向いていると考えられます。
用法
通常10ミリより開始して徐々に増量する。
最高150ミリを超えない
三環系や四環系抗うつ薬では、セロトニンとノルアドレナリン以外の作用が副作用↑となる。
トラマール、トラムセット
オピオイド作用、ノルアドレナリン再取り込み阻害作用、セロトニン再取り込み阻害作用によって鎮痛効果を発揮します。位置付けとしては、弱オピオイドであるリン酸コデインの代替薬です。
※トラマール300mg内服は添付文書においてはモルヒネ内服60mgに相当するとされておりますが、個々の状態に応じて安全性を重きにとる場合には少なめの30mgから変更するようにしてください。
100mg/日の徐放製剤が発売されています
トラマドール37.5㎎とアセトアミノフェン325㎎が配合された、トラムセット配合錠も発売されています。麻薬扱いにならないので使用しやすい薬剤ですが、保険適応は非がんの慢性疼痛となっています。
処方例 | |
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トラマールカプセル(25mg) |
4C(100mg)分4から開始 100mg/日ずつ300mg/日まで増量(25mg4C分4→8C分4→12C分4) 疼痛時頓用:1回量分内服(1日2回まで) |
モルヒネほどではありませんが、便秘や吐き気、嘔吐、眠気などが現れやすいです。眠気は続けているうちに慣れて軽くなりますが、吐き気は少し長引くかもしれません。つらいときは早めに受診し医師とよく相談してください。便秘は続くことが多いので下剤(通じ薬)で対処します。 重い副作用としては、けいれんや意識消失、呼吸抑制などを起こす可能性があります。発現頻度はきわめて低く、めったにないと思いますが、もともと てんかんなど脳に病気のある人や高齢の人は要注意です。また、安定薬や睡眠薬などとの併用時も発現リスクが高まるおそれがあります。 長く続けていると、体が薬に頼りがちになるかもしれません。このとき急に中止すると、吐き気や嘔吐、頭痛、不安感、震えなど反発的な症状が出現します。がん痛においては、副作用を心配しすぎて服用を控えることなく、痛みがおさまる必要最小限の範囲で正しく使用することが大切です。 【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
【その他】
ノルスパンテ-プ 副作用
半分以上の人に起こるのが、吐き気や嘔吐、便秘などの消化器症状です。ひどいようでしたら早めに受診し医師と相談してください。吐き気止めや通じ薬で対処可能です。次に多いのが眠気とめまい、貼付部位のかゆみや発赤などです。眠気は、続けているうちに体が慣れて、軽くなることもあります。
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ガバペンとリリカは国際的に標準的な治療薬で(NNT=4程度)、他の補助薬に比較して抗コリン性の副作用が少なく、眠気が生じることがありますが使いやすい薬剤です。リリカはガバペンと同じ作用を有していますが、生体内利用率が改善され線形の薬物動態を示し、用量調節がしやすくなっています。また内服数が少なくなります。ガバペンはてんかんの保険適応しかありませんが、リリカは神経障害性疼痛で保険適応があります。
効果の幅はいずれも大きくはありません。
ガバペンの効果を検証したイタリアでのRCTでは、開始して初めの5日ほどはガバペンを投与したほうが有効な患者が多いようにみえましたが、後半ではあまり変わらなかったことが示されています。
リリカ
サインバルタ20~60mgが化学療法による神経障害性疼痛に対して有効なことがRCTで確認されています。効果が出るまで3週間ぐらいかかります。
対象となった症状は、痛みを伴った「しびれ痛さ」であり、「痛くはないがジンジンしているのが(感覚がわからなくて)困る」や、「痛みやジンジンはないが、動かしにくくてボタンを入れるとか細かいことがしにくいので困る」といった症状を調べたものではありません。
副作用で吐き気
国内臨床試験では副作用(臨床検査値異常を含む)が50.9%に認められている。主な副作用は傾眠(20.1%)、悪心(10.2%)などであり、重大な副作用としてセロトニン症候群、悪性症候群、抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)、痙攣、幻覚、肝機能障害、肝炎、黄疸、皮膚粘膜眼症候群(スティーブンス・ジョンソン症候群)、アナフィラキシー反応、高血圧クリーゼ、尿閉が報告されている。
今回適応が追加されたデュロキセチンは、自殺念慮、自殺企図、敵意、攻撃性などの精神神経系の重篤な副作用リスクが懸念されている。
そのためデュロキセチンの慢性腰痛症への適応追加にあたり、厚生労働省は適正使用への留意を求める通知を出した。具体的には、本薬を投与する際は(1)最新の診断基準に基づき慢性腰痛症と診断した患者に限定して投与すること、(2)精神神経系の副作用発現リスクを考慮し投与の適否を慎重に判断すること
他に、テグレトール100mgで開始、200~400mgへ漸増も標準的(NNT=3程度)ですが、がん患者では眠気、ふらつきを生じることが多く、致命的なアレルギー反応や血球減少を引き起こすことがあります。
国内ではリボトリール0.5~1mgがしばしば使われます。数日後に蓄積性の眠気を生じることがありますが、大きな副作用はなく、不眠がある場合には使用しやすい治療薬です。
メキシチール200~400mgが糖尿病性神経障害に適応が通っていますがNNTは高く、効果は少ないと考えられています。消化器症状のリスクがありますが、精神作用が少ないのでせん妄がハイリスクの場合には選択されることがしばしばあります。
筋骨格の緊張による疼痛には、リオレサ-ルで開始して、3~4T/日 増量すると良い場合があります
肩こりや腰痛は多くの現在人が持っている共通の悩みです。
最近の研究によると筋肉のこりや痛みは筋肉そのものにあるのではなく、その周囲を包む筋膜という袋にあるということが分かってきました。
筋膜は筋肉どうしを隔てる壁になっているだけでなく、全身の体型を維持するようなボデイス-ツのような役割をしています。
最近の研究で筋繊維自体に痛みを感じるのではなく、痛みを感じる場所は、筋膜にあるということが分かってきました。筋肉が損傷を受けるとその周囲の筋膜は固くなり肥厚してきます。その場所は筋膜が厚くなってこれを外から押すとひどく痛い圧痛点があり、ほかの場所にも放散痛を起こします。この場所をトリガ-ポイントといいます
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上の超音波エコ-でやや上部の白く線上になっているところが筋膜です。
この筋膜の凝り固まったところを薬液で直接リリースする(はがす)ことが出来ます
エコ-を見ながら筋膜に針先を侵入させ、筋膜の重積している中にに局所麻酔剤や生食を入れて筋膜はがしをするわけです。
この患者さんも筋膜はがしを行いましたが痛みや凝りはすぐに軽減しています。
慢性のめまいや頭痛が一緒に取れて喜んでいる患者さんもおられます。
肩こりや腰痛で気になっている方はご相談ください
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〇また 当院では他の非医療機関への紹介・併診はしておりません。
通院日数、病名など各種問い合わせは、患者さんの同意書・宛先を記入した返信用封筒と切手を同封の上、書面にてお願いします。
書類作成という役務の提供に際し、文書料が発生します。
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しかし注射のほうが飲み薬より効果がよいとか、注射の代わりになる方法ないとかいう場合は注射をせざるを得ません。
膝関節にヒアルロン酸を注射するのに、飲むヒアルロン酸があるからよいと思う人があるでしょうが、それは間違いです。飲むヒアルロン酸は胃酸で分解を受けますので関節に直接届くことはありません。またヒアルロン酸は高分子でないと効果はありませんが、これを直接関節に届けるのは
抗生物質も飲み薬より点滴のほうが効果が強いといえます。またインフルエンザなどの予防も注射しか方法がありません。
すなわち人間は注射を打たずに済ますことは非常に困難です。それでは注射を痛くなくするのにはどのような方法があるかをここに挙げてみたいと思います。参考にしてください。
針は素早く入れ、素早く抜くと痛みが減るといわれています。
2、細い針を使う
注射をするのにもちろん小さい針が痛くないのは当然のことです。
当院ではできる限り小さい針を使うようにしています。
3、注射するところを圧迫する、注射するところをつねる
注射をする部位を針を刺す数秒前からかなり強く圧迫しておき、手を放した瞬間に消毒して注射する と、痛みをあまり感じなくて済むといわれます。
また注射する前に皮膚をつねっておくと痛覚が麻痺を起こします。この方法も痛みをあまり感じなくなります。
4、注射する場所を工夫する。
例えば膝関節の場合,膝の外方より刺入するほうが、内側より痛みが小さいようです。さらに膝の膝蓋骨の
下方より刺入すると、ますます痛みは感じにくいようです。
当院では注射場所を工夫したり、刺し方を変えてみたりしてなるべく痛くないようにしています。
5、注射を打つ前に麻酔薬入りの張り薬を貼る。その後30分ぐらいしたら痛みを感じにくくなります。
また挫滅創はいきなり消毒をすると痛いので、キシロカインゼリ-を塗布して処置を行うようにしています。
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