仙腸関節は、仙骨と腸骨の間にある関節であり、周囲の靭帯により強固に連結されています。仙腸関節は脊椎の根元に位置し、わずかな動きを有しています。
仙腸関節は日常生活の動きに対応できるよう、脊椎のバランスをとっています。中腰での作業や不用意な動作、あるいは繰り返しの負荷で関節に微小な不適合が生じ機能障害となって、痛みが発生します。
仙腸関節障害は決して稀ではありません。一般的に、出産後の腰痛に仙腸関節障害が多いといわれますが、年齢を問わず腰痛の原因となります。
私の感覚では仙腸関節に起因する腰痛の割合は20%~30%であろうと考えています。が人によってはその割合はもっと多いという人もいればほとんどないという人もいます。
片側の腰、臀部痛が多くみられますが下肢痛も出ることがあります。
仙腸関節障害では、仙腸関節を中心とした痛みが一般的ですが、多くは臀部(大殿筋)、そのほかに鼠径部、大腿部外側、下腿部などにも痛みやしびれをを生じることがあります。
仙腸関節のねじれが続けば長い時間椅子に座れない、仰向けに寝れない、痛いほうを下にして寝れない、という症状が特徴的で、歩行開始時に痛みがあるが徐々に楽になるなどの訴えがあります。
腰臀部、下肢の症状は、腰椎の病気(腰部脊柱管狭窄症)や (腰椎椎間板ヘルニアなど)による坐骨神経痛と似ているので注意が必要です。仙腸関節の動きが悪くなり、周囲の靭帯が刺激されることでも、下肢の痛みを生じてきます。
放散痛はL5・S1椎間板ヘルニアや、腰部脊柱管狭窄症の馬尾障害や神経根障害、血管性障害、糖尿病性神経障害などと発症領域が似通い、また被るために判断を難しくします。
この疾患では臀部や股関節大腿部に放散痛が見られることがあります。
①股関節に約2割の人に放散痛がみられます
②大腿外側では約3割日本仙腸関節研究学会報告より
③臀部1割
④大腿後面2割
このほかにも下腿に放散することもあります。
上記であげた太腿後面の領域が腰部椎間板ヘルニアでの症状の好発部位と似通った部位であるために誤った判断をされることがあります。
また、放散痛領域①と共通疼痛域は中心性ヘルニアにみられる疼痛発症部位で、このことも椎間板ヘルニアとの鑑別を難しくします.
ワンフィンガーテスト:ひとさし指で痛みの部位を示してもらうとピンポイントで仙腸関節部を示します。他の原因による腰痛症ではこのあたりといった広い範囲を手のひら全体で示すことが多い。
パトリックテスト:
これは股関節が悪い場合痛みが出ますが仙腸関節の痛みでも陽性に出ることがあります。 股関節を外転屈曲外旋することで痛みを生じれば陽性です。
SLRテスト:寝ていて足をまっすぐにしてあげると背部痛が出現する
仙腸関節の圧迫:臥位で腸骨を閉じるように圧迫します。横になってもらって骨盤を床方向に抑えてもかまいません。捻じれが増強し、痛みが強く出ますので診断の助けになります
腸骨押し開き試験:前方腸骨稜の圧迫:痛みが誘発されることがあります。
支持前屈テスト:、検者は患者の後ろに立って、前方の骨盤を両手で引き寄せ、仙骨を検者の大腿部で支持して患者に前屈させると、支持をしないで前屈した時の痛みが消失する。これによって不安定な仙腸関節が安定して痛みが楽になります。
ジレ-テスト:
検査をする人は患者を壁に手を置いて安定させた状態で、患者の仙骨と上後腸骨棘を抑えます。この状態で患側の股関節を屈曲させて足をあげます。
上後腸骨棘が下内方に動けば正常、外上方に動けば異常です。
X線、CT,MRI:これらの検査では特に異常はないことが多いです。
画像検査上 腰椎椎間板ヘルニアが認められても、症状と一致しない場合もありますので注意して診察が必要です。
1、安静、痛み止め、湿布
2、コルセット、骨盤ベルト骨盤ゴムベルトにて固定する
骨盤ゴムベルトは、仙腸関節の動きを抑える効果があり、仕事復帰時などの再発予防にも使えます。
3,AKA博多法;
仙腸関節を調整する徒手療法です。
滑り法:上滑り法、下滑り法があり仙骨を上方下方に滑らせます。
上部離開:下部離開法:仙腸関節の上方を開く、下方を開く方法。
などがよく使用されます。
AKA博多法はある程度の習熟が必要です。
4、仙腸関節ブロック
仙腸関節に麻酔剤と抗炎症剤を混ぜて注射をします。
仙腸関節炎には著効します。
5、手術:以上の治療を行っても症状が強い場合は、ごく稀ですが手術(仙腸関節固定術)が行われることがあります。
仙腸関節の動き
前屈姿勢をとると、体幹が前へ傾くと同時に腸骨は前に倒れます。それと同時に仙骨は相対的に後傾します。
仙骨には後面に背筋群が付着していて、背筋群が弛緩すると仙骨は垂直方向に立つわけです。
中腰は仙腸関節の最大緩みの位置になります。中腰で物を持ち上げるときにはこの緩みのポジションで持つのでぎっくり腰を起こしやすくなります。
逆に 腰を反らせる姿勢では、腸骨は後方に反り、相対的に仙骨はうなずくように前傾します。中腰姿勢とは反対に脊柱起立筋や多裂筋が緊張するため、仙骨後方が引っ張り上げられるために生じる現象です。この状態が仙腸関節が最もしまった位置となりこれをニュ-テ-ションといいます。
ハムストリングスは腸骨を後方回旋します。
腰の筋肉と太もも裏面の筋肉が拮抗的に引っ張り合い、仙腸関節がテコの支点となる事で長後仙腸靭帯と仙結節靭帯に張力が発生します。この一連の機構が仙腸関節を安定させています。
肩こりや腰痛は多くの現在人が持っている共通の悩みです。
最近の研究によると筋肉のこりや痛みは筋肉そのものにあるのではなく、その周囲を包む筋膜という袋にあるということが分かってきました。
筋膜は筋肉どうしを隔てる壁になっているだけでなく、全身の体型を維持するようなボデイス-ツのような役割をしています。
最近の研究で筋繊維自体に痛みを感じるのではなく、痛みを感じる場所は、筋膜にあるということが分かってきました。筋肉が損傷を受けるとその周囲の筋膜は固くなり肥厚してきます。その場所は筋膜が厚くなってこれを外から押すとひどく痛い圧痛点があり、ほかの場所にも放散痛を起こします。この場所をトリガ-ポイントといいます
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上の超音波エコ-でやや上部の白く線上になっているところが筋膜です。
この筋膜の凝り固まったところを薬液で直接リリースする(はがす)ことが出来ます
エコ-を見ながら筋膜に針先を侵入させ、筋膜の重積している中にに局所麻酔剤や生食を入れて筋膜はがしをするわけです。
この患者さんも筋膜はがしを行いましたが痛みや凝りはすぐに軽減しています。
慢性のめまいや頭痛が一緒に取れて喜んでいる患者さんもおられます。
肩こりや腰痛で気になっている方はご相談ください
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しかし注射のほうが飲み薬より効果がよいとか、注射の代わりになる方法ないとかいう場合は注射をせざるを得ません。
膝関節にヒアルロン酸を注射するのに、飲むヒアルロン酸があるからよいと思う人があるでしょうが、それは間違いです。飲むヒアルロン酸は胃酸で分解を受けますので関節に直接届くことはありません。またヒアルロン酸は高分子でないと効果はありませんが、これを直接関節に届けるのは
抗生物質も飲み薬より点滴のほうが効果が強いといえます。またインフルエンザなどの予防も注射しか方法がありません。
すなわち人間は注射を打たずに済ますことは非常に困難です。それでは注射を痛くなくするのにはどのような方法があるかをここに挙げてみたいと思います。参考にしてください。
針は素早く入れ、素早く抜くと痛みが減るといわれています。
2、細い針を使う
注射をするのにもちろん小さい針が痛くないのは当然のことです。
当院ではできる限り小さい針を使うようにしています。
3、注射するところを圧迫する、注射するところをつねる
注射をする部位を針を刺す数秒前からかなり強く圧迫しておき、手を放した瞬間に消毒して注射する と、痛みをあまり感じなくて済むといわれます。
また注射する前に皮膚をつねっておくと痛覚が麻痺を起こします。この方法も痛みをあまり感じなくなります。
4、注射する場所を工夫する。
例えば膝関節の場合,膝の外方より刺入するほうが、内側より痛みが小さいようです。さらに膝の膝蓋骨の
下方より刺入すると、ますます痛みは感じにくいようです。
当院では注射場所を工夫したり、刺し方を変えてみたりしてなるべく痛くないようにしています。
5、注射を打つ前に麻酔薬入りの張り薬を貼る。その後30分ぐらいしたら痛みを感じにくくなります。
また挫滅創はいきなり消毒をすると痛いので、キシロカインゼリ-を塗布して処置を行うようにしています。
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