腰部椎間板ヘルニア
症状の経過
腰椎椎間板ヘルニアは急性腰痛症(ぎっくり腰)のようにして発症します。はじめは腰に強い痛みが走り、お尻から下肢へ坐骨神経痛も起こってきます。しかし、安静を2-3日していただき痛み止めやコルセット、神経ブロックなどで治療すると、1週間くらいですこし改善します。1ヶ月経過すると痛みは半分くらいになります。2−3ヶ月すると、痛みはほぼ完全に治ります。
9割くらいの方のケースでは手術は必要なく、保存的治療(手術をしない治療)で治っていきます。
通常はこのように様子を見てから、必要な場合には手術に切り替えます。
※保存的な治療の期間であっても手術をする場合もある
もちろん1ヶ月以内でも緊急手術が必要なこともあります。具体的には膀胱直腸障害(尿や便が出づらくなる)や麻痺による筋力低下が出現したときです。
朝腰が痛い
腰椎椎間板ヘルニアでは朝腰が痛いと起きたときに痛みを感じることが多くあります。これは寝ている場合の不良姿勢と、椎間板が寝ている間に水分を吸収することで膨張することで、神経の圧迫が強くなることに起因していると思われます。
咳で痛みが増強?
また咳をすると痛みがひどくなったりすることがあります。これは咳をしたり、いきんだりすると脊髄の内圧が上がって神経の圧迫が強くなるためです。
自分でできる予防
腰痛がひどい場合は、体を少しかがめた状態で寝る方が望ましいです。
横向きでひざを曲げて眠るか、仰向けでひざの下にクッションなどをあてて眠るようにしましょう。腰痛がひどいと、仰向けの状態から起き上がることもかなり難しくなります。起き上がりではまず布団の中で横向きになり、布団に手を添えて手の力で体を持ち上げるようにゆっくり起きてみましょう。こうすると、仰向けに起きるよりも大幅に腰への負担を減らすことができます。
腰椎椎間板ヘルニアでの保存療法の基本は安静と薬物療法です。
1安静
痛みが強い間は、神経への刺激や炎症を抑えるために安静が第一です。体を激しく使う仕事や、腰に負担のかかる家事など日常生活上の動作、運動は行わないようにします。座っていてもつらい場合は、横になるなど、最も楽な姿勢をとるようにします。椎間板にかかる圧力は、横になっているときが最も低く、立っているときよりも座っているときのほうが高いといわれています。また、ものを持つとさらに圧力がかかり、特に前かがみになると圧力が増すため、中腰での作業は、極力控えることが大切です
2、薬物療法
安静とともに薬を服用します。
薬は、痛みや患部の炎症を抑える非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)や筋肉の緊張を和らげる薬痛み止めはただの気休めだから飲みたくないという方がおられますが、処方する薬は消炎作用も持っていますのでヘルニアで腫れた神経の炎症を抑える意味があり、ただ痛みを抑えるだけではありません。また少しでも日常生活動作の向上をさせるためには有効です。
薬は、痛みや患部の炎症を抑える非ステロイド性消炎鎮(NSAIDs)や、緊張した筋肉をほぐして痛みをやわらげる筋弛緩剤などを使用します。内服薬が中心ですが、湿布薬や塗り薬、座薬などを使います。
最近は、オピオイド鎮痛薬、抹消性神経性障害疼痛改善剤(リリカ)と呼ばれる痛みを感じる経路をブロックさせる有効な薬も使えるようになりました。
3、神経ブロック、硬膜外ブロック
薬でおさまらない場合や耐えられない疼痛では、神経ブロックを行います。
腰の痛い部分に、局所麻酔薬を注入するトリガーポイント注射も有効性が認められます。
神経ブロックには、仙骨や腰部の硬膜外より炎症を鎮めるステロイド薬を注射する硬膜外ブロックと、圧迫されて痛みのもとになっている神経根に、直接注射をする神経根ブロックがあります。
4、コルセット
腰部を支えるためにはコルセットや腰椎バンドなどをつけての装具療法を行います。
5、牽引療法、理学療法
腰の椎間板の内圧を除圧する目的で腰を引きのばす牽引療法があります。この場合腰は屈曲した状態で牽引するのが正しい方法で、腰を伸ばしたまま牽引すると、かえって腰が反ってしまい逆効果になる場合もあります。
低周波やマイクロ波を用いる電気療法などの物理療法は、筋肉の緊張をとったり神経の興奮を抑えたりする目的で行われます。sspという鍼治療のツボに電極を当てて治療する方法もあります。
症状が激しい時期の安静は大切ですが、いつまでも動かずにいると腰や股関節周囲の筋肉が硬くなりまた筋力も落ちます。ある程度の発症直後の激しい痛みが落ち着いたら、ストレッチで筋肉を緩める運動療法を行います。
仰向けに寝て、両膝を90度の角度に曲げて立てます。次に立てた両膝を横に片側へ倒していきましょう。倒した両膝を再び元の位置にゆっくり起こし、今度は反対側へ同じようにゆっくり倒します。
この動きを繰り返すことで、腰周りの筋肉がほぐれて動きが楽になります。
椎間板の圧力を少なくするためにはマッケンジ-法の進展のエクササイズをお勧めします。
立っている状態で徐々に腰をそる方法、
腹這いになった状態を維持した後、徐々に腰を伸ばす方向にエビぞりに腰を伸ばしてゆきます。
まずひじを立てた状態を行いこれができるようになれば今度は、手のひらついて腕を伸ばして、ちょうど腕立て伏せをするような動作をしていきます。
詳しくはマッケンジ-法についてこのホームペ-ジで紹介していますのでで述べておきいますので参考にしてください。
マッケンジ-法について
ニュージーランドの理学療法士 ロビンA.マッケンジー氏 により考案された腰部の伸展をメインとするエクササイズで、従来までは腰痛にはむしろ禁忌とされていた腰を反る方向へ動かす体操で特に椎間板ヘルニアを含む腰痛の治療や姿勢不良や関節機能不全による慢性腰痛治療に効果を上げている運動療法(治療法)です。 |
現代人の日常生活において、背中を丸める屈曲姿勢をとることが腰に正常な彎曲を伴う姿勢をとることに比べ非常に多くなっています。 通常は伸展(反る)方向の可動制限が起こります。 故に、伸展方向の可動制限とそれに伴う痛みは残ったままで、加えて屈曲状態が続いた腰部は、絶えず上体の重みを腰の筋肉で支えなければならない状態をまねき、慢性的な腰痛に発展させてしまいます。 マッケンジーエクササイズは腰椎の伸展方向の可動性を回復させ、より負荷の少ない生理的な姿勢をとれるように訓練する運動療法です。 |
1、Derangement syndrome(偏位症候群)
椎間板や椎間関節の変性を原因とする症候群.
治療は、椎間板や椎間関節の内圧を少なくする。
エクササイズは、必ず痛みを緩和する方向への体操を行う.
2、Dysfunction syndrome(機能障害症候群)
軟部組織の短縮、拘縮を原因とする症候群.
所謂、筋筋膜性疼痛症候群(MPS)である、
治療は、マッケンジー法とトリガーポイント法(筋膜リリ-ス)を行う。
3、Postural syndrome(姿勢症候群)
日常生活での不良姿勢を原因とする症候群.
治療は、背骨のS字状への矯正と正しい姿勢の指導.
エクササイズは、正しい姿勢を習得するための
sluch-overcorrect法を行う.
4、Others(上記3つに当てはまらない病態)
1、腹臥位で深呼吸 目安、2分間×7セット/日
2、腹臥位で肘立て腰反らし 目安、2分間×7セット/日
3、腹臥位で腕伸ばし腰反らし目安、10回×10セット/日
4、立位で伸展運動 目安、7回×7セット/日
5、仰臥位で屈曲運動 目安、5回×3セット/日
6、座位で屈曲運動 目安、5回×3セット/日
7、立位で屈曲運動 目安、5回×3セット/日
8、踏み台で屈曲運動 目安、5回×3セット/日
-------------------伸展のエクササイズ----------------------
--------------屈曲のエクササイズ-------------
マッケンジーエクササイズでは伸展の運動だけでなく、下肢への症状が完全に治まったあと、可動性の少なくなった屈曲の動きを回復させるために屈曲のエクササイズも行います。 方法は仰向けに寝て膝を抱きかかえるようにして腰部を屈曲させます。その後痛みが出ない様になれば立位で行なってもかまいません。 また、症状が治まった後、前屈時に身体の傾きが出る方は傾く側の反対側の足を椅子などの台にのせ立って前屈します。 屈曲運動は損傷部位の回復が完了し、下肢症状がなくなってから行います。 |
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肩こりや腰痛は多くの現在人が持っている共通の悩みです。
最近の研究によると筋肉のこりや痛みは筋肉そのものにあるのではなく、その周囲を包む筋膜という袋にあるということが分かってきました。
筋膜は筋肉どうしを隔てる壁になっているだけでなく、全身の体型を維持するようなボデイス-ツのような役割をしています。
最近の研究で筋繊維自体に痛みを感じるのではなく、痛みを感じる場所は、筋膜にあるということが分かってきました。筋肉が損傷を受けるとその周囲の筋膜は固くなり肥厚してきます。その場所は筋膜が厚くなってこれを外から押すとひどく痛い圧痛点があり、ほかの場所にも放散痛を起こします。この場所をトリガ-ポイントといいます
小林整形外科 宇部市 ホ-ムペ-ジ
上の超音波エコ-でやや上部の白く線上になっているところが筋膜です。
この筋膜の凝り固まったところを薬液で直接リリースする(はがす)ことが出来ます
エコ-を見ながら筋膜に針先を侵入させ、筋膜の重積している中にに局所麻酔剤や生食を入れて筋膜はがしをするわけです。
この患者さんも筋膜はがしを行いましたが痛みや凝りはすぐに軽減しています。
慢性のめまいや頭痛が一緒に取れて喜んでいる患者さんもおられます。
肩こりや腰痛で気になっている方はご相談ください
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〇また 当院では他の非医療機関への紹介・併診はしておりません。
通院日数、病名など各種問い合わせは、患者さんの同意書・宛先を記入した返信用封筒と切手を同封の上、書面にてお願いします。
書類作成という役務の提供に際し、文書料が発生します。
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しかし注射のほうが飲み薬より効果がよいとか、注射の代わりになる方法ないとかいう場合は注射をせざるを得ません。
膝関節にヒアルロン酸を注射するのに、飲むヒアルロン酸があるからよいと思う人があるでしょうが、それは間違いです。飲むヒアルロン酸は胃酸で分解を受けますので関節に直接届くことはありません。またヒアルロン酸は高分子でないと効果はありませんが、これを直接関節に届けるのは
抗生物質も飲み薬より点滴のほうが効果が強いといえます。またインフルエンザなどの予防も注射しか方法がありません。
すなわち人間は注射を打たずに済ますことは非常に困難です。それでは注射を痛くなくするのにはどのような方法があるかをここに挙げてみたいと思います。参考にしてください。
針は素早く入れ、素早く抜くと痛みが減るといわれています。
2、細い針を使う
注射をするのにもちろん小さい針が痛くないのは当然のことです。
当院ではできる限り小さい針を使うようにしています。
3、注射するところを圧迫する、注射するところをつねる
注射をする部位を針を刺す数秒前からかなり強く圧迫しておき、手を放した瞬間に消毒して注射する と、痛みをあまり感じなくて済むといわれます。
また注射する前に皮膚をつねっておくと痛覚が麻痺を起こします。この方法も痛みをあまり感じなくなります。
4、注射する場所を工夫する。
例えば膝関節の場合,膝の外方より刺入するほうが、内側より痛みが小さいようです。さらに膝の膝蓋骨の
下方より刺入すると、ますます痛みは感じにくいようです。
当院では注射場所を工夫したり、刺し方を変えてみたりしてなるべく痛くないようにしています。
5、注射を打つ前に麻酔薬入りの張り薬を貼る。その後30分ぐらいしたら痛みを感じにくくなります。
また挫滅創はいきなり消毒をすると痛いので、キシロカインゼリ-を塗布して処置を行うようにしています。
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